コスモ石油エコカード基金は、コスモ・ザ・カード・オーパス「エコ」、コスモ・ザ・カード・ハウス「エコ」のお客様から毎年お預かりする500円とコスモ石油グループからの寄付金を、環境保全活動を行うNPOなどに寄付することで、その活動をサポートしています。

熱帯雨林保全プロジェクト(ソロモン)を訪ねて(2012/1/29-30)

コスモ石油エコカード基金会員の皆さま、こんにちは。
私たちエコカード基金事務局は、1月29日、30日の二日間、基金のプロジェクトの一つである、「熱帯雨林保全プロジェクト」の活動拠点があるソロモン諸島のフィユ村を訪問しました。

ソロモン諸島はオーストラリアの北東、赤道の南に位置し、熱帯雨林に囲まれ、サンゴ礁の島々を含む多様な島嶼からなる自然豊かな地域です。
今回訪問するフィユ村は首都ホニヤラがあるガタルカナル島のさらに北東に浮かぶマライタ島にあります。日本からはソロモン諸島の隣国であるパプアニューギニアの首都ポートモレスビーとソロモン諸島の首都ホニヤラを経由しなければならず、飛行機と船を乗り継いでの長旅となります。


船から見たソロモン諸島の島


私たちはホニヤラ空港に降り立ち、NPO法人APSDの伊藤代表とスタッフであるピーターさん、それから、しとしとと降る雨に出迎えられました(この地域の1月末は雨季のため、残念ながら燦々と輝く太陽の出迎えはありませんでした)。

ホニヤラ到着後、すぐにでもフィユ村に向かいたいところですが、マライタ島に行く船は翌朝出航のため、ホニヤラで一泊しなければなりません。そこで、まずはソロモン諸島の現状把握と翌日からの行動のための予備知識を仕入れるために、ホニヤラ市内の案内をしていただきました。ちなみに首都ホニヤラは、大きな幹線道路が町の中心を貫いていますが、車で走っても15分程度で一回りできる広さです。

私たちが向かったのは、市内にある通称「ソロモンのスモーキータウン」です。ソロモン諸島は多くの小さな島々で構成される国ですが、昨今の近代化によって、ゴミの問題が顕在化し社会問題になりつつあります。私たちが行った場所も、市が指定するゴミ集積場なのですが、特に処理をされているわけではなく、まさに野積み状態でした。また職を求めてマライタ島からたくさんの人が流入してきているとのことですが、首都ホニヤラでも仕事は不足しており、最近はこのスモーキータウンで寝泊まりし、ゴミの中から売れそうなものを見つけて生活の足しにする人々が現れ始めているとのことでした。小さな島ですので、ゴミの問題は深刻です。


ゴミ集積場


ソロモン諸島に近代的な生活様式が入ってくるまでは、人々は手に入りやすいバナナやタロイモ、パイナップルなどの果物や野菜を食べ、食べ残しや食べかすは、慣習的に道端などに捨てていました。人口が少なく、有機物のゴミしかなかった時代には、ゴミは時間をかけて自然に戻るため、ゴミ問題は発生しませんでした。

しかし、最近のゴミはプラスチックやブリキ、アルミなど、自然のなかでは分解しないものが多くなり、道端に捨てられたゴミはそのまま残ってしまうのです。

ゴミの捨て方などに関する教育はどこの国でも大変重要なのですが、急激に近代化が進んだソロモン諸島においては、行き届いているとはいえない状況だそうです。

さて、今回の訪問の目的は、過剰な焼き畑農業を抑制し、安定した食糧自給や現金収入を確保するために定置型有機農業の技術指導と普及に取り組んでいる、コスモ石油エコカード基金による熱帯雨林保全プロジェクトの活動を皆さまにレポートすることです。

このプロジェクトに取り組んでいるNPO法人APSDが活動拠点としているのがソロモン諸島マライタ州フィユ村なのです。

ホニヤラ到着の翌日、私たちはジェットフェリーで約3時間、しかもハリケーン並みの大きな波に翻弄されながら、マライタ州アウキ市の港へ向かいました。港からさらに車に揺られて15分、いよいよAPSDさんの活動拠点、フィユ村にあるAPSDパーマカルチャーセンター(PCC)に到着です。


フィユ村までのバス?


PCC宿泊棟

PCCではソロモン諸島各地から集まった研修生に対し、過剰な焼畑農業を抑制し、安定した食糧自給や現金収入を確保するための定置型有機農業の技術指導をすることを主な活動目的としています。また、PCCでは稲や野菜の研修のほかに養豚・養鶏の研修にも取り組んでいます。

気候が温暖なこの島では、ナスなどの作物は良く育ちますが、残念ながら現地の人はあまり食べません。ナスのおいしい食べ方(たとえば素焼きに醤油と鰹ぶし…など)を、栽培方法と一緒に教えることができれば、こうした育てやすい作物がもっと普及し、栄養も十分取ることができるのに、とPCCに駐在しているAPSDの白藤さんが話してくれました。



稲作


ナス


PCC入口から見た研修フィールド



可愛い子ブタ


放し飼いのニワトリ

また最近、PCCでは養蜂にも取り組んでおり、ハチミツだけでなく、最近日本でも注目されているプロポリスも製品化できるかどうか検討しています。日本ではひとつの養蜂箱から年間100g程度のプロポリスを採ることができるとのことですが、ここでは約1kgも採ることができるそうです。物流と品質管理に課題はありますが、良い品質のものをソロモン諸島の人々の手でも作れるようにしたいと白藤さんは目を輝かせて言います。


養蜂箱


ところで、PCCにはまだ電気が通っていません。しかし、電気技術者でもあるピーターさんが、オフィス棟の屋根に大きな太陽光発電パネルを設置し、蓄電池を組み合わせることでオフィス内に電気を供給することができるようになりました!この太陽光発電パネルと蓄電器のおかげでオフィス棟では冷蔵庫とパソコンが使えるようになりましたが、実はピーターさんはソロモン諸島の国費留学生として日本に留学したこともある優秀な技術者で、普段は大阪でご活躍されているとのことです(日本語も驚くほど堪能です)。


屋根の上の太陽光発電


蓄電池


APSDのソロモン諸島での活動は、首都ホニヤラとマライタの間で紛争が勃発した2000年に、復興を目的としてスタートしました。そして、初めて精米機の寄贈をした時から現在まで、過剰な焼畑農業に依存せずに、環境を守りながら安定した食糧自給や現金収入を確保するための定置型有機農業の指導に力を入れてきました。このようなプロジェクトの地道な活動が地域の若者の中にも少しずつ浸透し、高い志を持つようになった青年も少なくありません。

しかし、それだけではダメだと、代表の伊藤さんは言います。ソロモン諸島では産業が乏しく、貧困にも苦しんでいます。とてもおいしい農作物(パイナップルは絶品!)はあっても、物流網や保管施設などが十分に発達していないため、国外に輸出することも困難です。さらに、ソロモン諸島国内においても、全ての物資が一旦首都ホニヤラに集められてから供給されるため、遠く貧しい島に住んでいる人々は輸送費のかかった高い買い物をしなければならないのです。

ソロモン諸島で定置型有機農業を普及させるとともに、人々が働く場を作る。物流網を整備し品質管理を導入して質の良いものを人々に行き渡らせる……夢は広がります。そのようななか、現在はアウキ市に日本のODAによって建設されている新しい市場(いちば)の中に、定置型有機農業で作った村の農作物を販売することができ、新たな職場を提供することができるレストランを開店するためにスタッフは各方面との調整に奔走しています。


建設中のアウキ市の新市場


私たちは29日の夜、フィユ村の民家に一泊。村の人々が、私たちのために歓迎パーティーを開いてくれました。子供たちが歌ってくれたのは、なんと日本語の「島人ぬ宝」で、白藤さんの妻のシンディさんが村の子供たちに教えてくれたそうです。子供たちの一生懸命な踊りが何とも可愛いです。歌と踊りのあと、村の人たちの真心こもった貴重な豚肉料理をいただきました。


子供たちの踊り

村では豚やニワトリを放し飼いしていますが、食べるのは年に数回、結婚式や祭りの時ぐらいであるとのことで、私たちのための特別な料理に胸が熱くなります。
おいしく料理をたくさんいただいたところで、昨年、日本に農業研修に行っていたジョンさんが隣に座りました。ジョンさんは日本でしっかりと農業技術を学び、それを自分の国へ広げたいという志を持って島に戻ってきました。


テーブルの上のご馳走

今回の訪問で最も印象に残ったことは、コスモ石油エコカード基金の支援を受け、日本の木之内農園(熊本県)で農業を学んだジョンさんとの再会です。ジョンさんは3か月の研修を終えて帰国する際にコスモ石油エコカード基金の事務局を訪ね、自分が日本で学んだこと、帰国してから実践したいことを私たちに話してくれました。そして今回の訪問で再会した彼は、親族を数人集めてファーマーズコミュニティを組織しスイカ作りを始めていること、自宅では中国キャベツの苗を育てていることを話してくれました。ポットに植えられ整然と並べられた苗は、日本で学んだ技術を実践している証でしょう。


ジョンさん宅のキャベツ苗

(実はこの日の夕方、農作業をしているジョンさんに会ったのですが、その時のジョンさんはそれまでに会った島の人とは違い、タオルを頭に巻き、きちんと長靴をはき、作物を大事にするにためわざわざ遠回りするという、青年農業家ぶりを見せてくれていたのです。木之内農園さんの指導ぶりが目に浮かびます)

私たちは日本で様々なことを学んだジョンさんの立派な姿と定置型農業の普及というプロジェクトの成果の一部を見ることができ、大変うれしく思いました。

ジョンさんは言います。「技術を身につけ、少しずつお金を貯め、仲間を増やして規模を拡大したい。そして大きな家に住み、幸せに暮らしたい。」このプロジェクトを理解し、経験を積み、技術を身につけつつあるこのソロモンの青年の目は、しっかりと将来を見据えています。

このような青年が育ちつつある一方で、ソロモン諸島の教育事情はまだまだ十分とは言えず、働く職場も限られています。ソロモン諸島には日本の高校程度までの学校はありますが、進級するためには試験に通らなければなりません。試験に通らなかった子供たちを救済する制度は無く、公的な教育はそこでストップしてしまいます。また、進級できたとしても費用負担は軽くはなく、頑張って卒業しても職場は簡単には見つかりません。さらに、大学レベルの教育を受けるためには海外に出るしかありません。


宿題をする子供たち


ピーターさんのように国費留学生として高い水準の教育を受ける機会に恵まれ、日本などで最先端技術を学んできた若者が戻ってきたとしても、国内ではその技術を発揮できる職場も機会もなく、能力を発揮できないというのが実情なのです。

とはいえ、今まで書いてきたとおり、皆さまからお預かりした基金に支えられ、プロジェクトの目的を達成させることへの努力はもちろん、自分たちの国を発展させるため、幸せに暮らすために夢と志を持ち、努力をしようとする青年が育ちつつあることは、ソロモン諸島はもちろん、コスモ石油エコカード基金にとっても大いに意義があることだと今回の訪問で感じることができました。


NPO法人APSDからエコカード会員のみなさまへ感謝を込めてレリーフをいただきました。

私たちコスモ石油エコカード基金は、ソロモン諸島での活動のように、これからも持続的な社会、生物多様性保全実現のため、「ずっと地球で暮らそう」を合言葉に、継続的に支援していきたいと考えています。

コスモ石油エコカード基金事務局



コスモ石油エコカード基金とは

カテゴリ

アーカイブス

ブログ内キーワード検索

RSSリンク

携帯からのアクセスはこちら
qrcode