コスモ石油エコカード基金は、コスモ・ザ・カード・オーパス「エコ」、コスモ・ザ・カード・ハウス「エコ」のお客様から毎年お預かりする500円とコスモ石油グループからの寄付金を、環境保全活動を行うNPOなどに寄付することで、その活動をサポートしています。

熱帯雨林保全[パプアニューギニア]現地視察(2011/8/27-9/2)

 この度、現地で熱帯雨林保全活動をしている、NGOオイスカの活動を視察するために、パプアニューギニア(以下、PNG)を訪問してきました。
オイスカに対するエコカード基金からの支援は2002年から始まっており、今年で10年目になります。
オイスカはこれまでのカカオや、パーム(やし)畑のプランテーションから、循環型農業の普及という形で、稲作への転換や、環境教育の普及を長年現地で行っています。

私たちは、オイスカのエコテック研修センターのある、イースト・ニュー・ブリテン州のラバウルに降り立ちました。
飛行機から見下ろすラバウルの街は緑であふれ、とても森林が危機に陥っているようには見えません。


私たちをエコテック研修センターまで案内してくれたオイスカの荏原(えはら)さんに、緑がきれいですね、と話をすると、この辺りはパーム畑だらけになって、自然が失われている、との言葉。
正直、この時点では???でした。


エコテック研修センターは、現地の青年を集め、有機循環農法の普及活動を行っています。科目は大きく分けて5つ:農業・畜産・稲作・林業・女性の社会教育
現在研修生は合計で97人。出身地はPNG全国に亘り、長期で研修に来ている青年と、2週間程度の短期研修生。これに対し、スタッフは日本人の荏原さんを除くと、24人すべてがPNG人。みんな、このエコテック研修センターの卒業生です。
所長のフランシスさんは、今年2月にPNG人で初めて所長になりました。

フランシス所長(左手前)

いつまでも日本人に頼らず、PNG人にできることは権限移譲していこう、との試みです。
スタッフ、研修生みんなの笑顔が大変素敵で、すれ違うたびに気軽に「こんにちは」と挨拶してくれます。(それも日本語で。ここでは日本語も教えているのです)

エコテック研修センターの中を案内していただきました。
火食い鳥やワニ!を飼育しています。


火食い鳥



ワニは、センターの運営資金を稼ぐために飼育され、皮や肉を外部に販売しています。
皮は高く売れるそうです。
中には全長2メートルは優にある長老のワニがいて、近づくのもためらわれます。

畑に出てみると、研修生が汗を流して野良仕事に励んできます。敷地内ではトウモロコシ、キャベツ、タロイモ、キャッサバ(タピオカの元になる野菜です)、サトウキビ、マンゴー、パパイヤなど様々な野菜・果物が栽培されています。

研修生が、ちょうど稲の収穫をしているところに出くわしました。炎天下の中、生徒さんたちは一心不乱に稲を刈り、千歯こきで脱穀しています。




日本と違い、熱帯雨林気候のラバウルでは、水田ではなく、陸作を行っています。
数年前から有機農法に切り替え、化学肥料を一切使用していませんので、稲と稲の間には、雑草もまばらに生えています。


また、日本と違い気候に恵まれているので、年に3〜4回、収穫をすることができます。今、収穫をしている田んぼの横では、まだ植えられたばかりの稲が育っています。


同じ土地で連続して何度も作ると、土地の栄養分が失われ、次に収穫する稲に元気がなくなってしまいます(いわゆる連作障害です)。
そこで、収穫の終わった田んぼはしばらく休耕させ、替わりに豆などを植えて土に栄養が戻ってくるのを待ちます。

もともと、PNGには稲作はありませんでした。なぜ、オイスカはこの地で稲作の普及に力を入れているのでしょうか?

当地での従来の主食はタロイモでしたが、お米の美味しさも知っており、特に若い人たちの間では、白いご飯が食卓に上がる日が週2〜3回あるそうです。ところが、お米は栽培されていなかったため、人々はお金を出して輸入された米を買っていました。

そこに現れたのが、カカオのプランテーションです。
カカオはPNGで生産されますが、当地でチョコレートに加工する技術がないため、すべて原料として輸出され、人々はカカオを売って得たお金で、お米を買っていました。

しかし数年前、カカオにとって天敵のシンクイ虫という害虫により、PNGのカカオ産業は壊滅的な打撃を受けます。他に大きな収入源のなかったPNGの人々は、すっかり困ってしまいます。

オイスカがここで稲作を教えているのは、自分たちが食べるお米を作ることで自給自足を目指すとともに、余ったお米を売ることで収入源とすることもできる。

何より、特定の収入源に頼るのではなく、複数の産業を興すことが、人々の生活を安定させるすべになるのです。

この活動は、PNGの各地から研修に来ている青年の心を捕えました。出身の村に帰って、自分で稲作を始めたり、友人に研修センターのことを話して、研修への参加を促してみたり、中にはそのまま残ってスタッフとして働いている人もいます。

稲作は、少しずつながら、PNGに根付き始めています。

翌日、私たちは車で1時間半ほど離れたところにある、ケラバットのCIS刑務所を訪問しました。


この刑務所では、オイスカのスタッフが受刑者に農業指導を行い、出所後のための職業訓練とするとともに、看守の人々も一緒に学習し、PNG全国の刑務所に有機循環農法の指導を促しています。
刑務所の広大な土地には、受刑者が開墾した畑があり、稲が青々と育っていました。一角には精米機が置かれ、収穫した米を脱穀し、販売したり、近くの村民のお米を精米してあげることで収入を得たり、種もみを売ったりしています。


精米機


販売用の種もみを乾燥しています。

その後私たちは、元受刑者で出所後、地元で農業を始めた二人の青年の家を訪れました。マクラパオ村のAさんは、島の奥深くの密林の中で、畑を開墾し、米を作ったり、コーヒーを栽培しています。ここでは村民みんなが、共同で農業に携わり、安定的な収入を得ています。


マクラパオ村にて


村民で開墾した畑の様子


次に訪問したココポ地区のBさんは、ジェイル・バード・ファームと呼ばれる組織を作り、それぞれで稲作や鶏、ウサギ、豚などの飼育をしていますが、なんとこの団体は、元受刑者が集まって活動しているのです!
まさに彼らは刑務所を出てから、立派に社会復帰を果たし、かつ地域に安定的な収入の基盤を作り始めています。


コポポ地区にて

一緒に彼らを訪問してくれたケラバットCIS刑務所の所長さんによると、ケラバット刑務所の活動が州政府にも認められ、自分の刑務所にも農業を普及させたいと看守さんの転勤を要望されたり、こうした元受刑者の農業を支援する予算も計上されたとのこと。
ここでも確実に啓もう活動が根付いていました。

翌日、私たちはオイスカがモデル村構築プロジェクトを手掛けているサンバム村を訪れました。
密林のでこぼこ道を車で走ること約2時間。サンバム村にあるモデル畑に到着しました。


サンバム村

ここでは密林を切り開いて、米やキャベツ、キャッサバ、タロイモなどを植えています。


タロイモ畑の様子


ブロッコリーも育っています!

また、ただ切り開くだけではなく、土壌の弱った場所ではユーカリの木を植林して、土壌保全活動もしています。私たちも植林活動をお手伝い。



サンバム村は昨年、マレーシア華僑企業から、村の木々を材木として売らないか、との話を持ちかけられました。村民にとってはお金になる話ですが、木々が伐採された後は、はげ山が残るだけ。森林が財産の村にとっては、一時期の収入のために大事な財産が失われることになります。

そこでオイスカは、オリジナルの劇を学校で上演し、森林を守ることがいかに村にとって大切なことかを伝えました。

最終的な判断は、村民がすること。その意思を尊重しつつ、環境の教育、無計画な開発の結果について伝える事に尽力し、村は結局木々を売ることを止めました。

しかし、中にはやはり木々を売って収入を得たい人々もいて、一時期村で活動していたオイスカのスタッフが身の危険を感じて、しばらく近づけない時期もあったそうです。
環境活動も命がけです。

最初に不思議に思った疑問が蘇ってきました。
なぜ、例えばパーム畑のプランテーションは、森林破壊につながるのでしょう?
元々あった木々は根こそぎ切り、替わりにヤシの木を植えるのです。

オイスカの長さんが教えてくれました。
コーヒーのプランテーションは、敷地も小さく、他の作物と一緒に栽培できるからまだ良い。
パーム畑は、広大な土地を必要とするのに対し、根を深く張らないため、土壌が弱まり、土砂崩れなどの原因となり、森がなかなか戻ってくることができないそうです。
最初に荏原さんが浮かべた憂鬱そうな顔を思い出しました。

この度のPNG訪問では、エコカード基金を活用したオイスカの地道な活動が、地域の環境保全、産業育成、環境教育に役立っていることが良く分かりました。その道のりは決して平たんなものではなかったと思いますが、短期間でなく、長い時間軸で活動を続けることで、少しずつ実をつけるものだと実感しました。

エコカード基金は、会員の皆さまのご協力の下、引き続き環境修復と保全、次世代の育成をサポートしていきます。

 


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