コスモ石油エコカード基金は、コスモ・ザ・カード・オーパス「エコ」、コスモ・ザ・カード・ハウス「エコ」のお客様から毎年お預かりする500円とコスモ石油グループからの寄付金を、環境保全活動を行うNPOなどに寄付することで、その活動をサポートしています。

熱帯雨林保全(ソロモン諸島)で活躍する2人が来社されました。

11月20日(火)、『熱帯雨林保全』プロジェクトの活動拠点である、ソロモン諸島フィユ村のパーマカルチャーセンターでシニアインストラクターを務めるジョンマックさんとジョンアラーニさん、同センターを運営するNPO法人APSDの伊藤代表が来社されました。

 

ジョンマックさんとジョンアラーニさんは熊本県の木之内農園(阿蘇エコファーマーズセンター)で、生産から加工、販売までを「産業」として捉える、より実践的な研修を受けるために来日し、90日間の研修を終え、帰国する直前に当社を訪ねてくれたのです。

 

日本での経験を語る2人は、きっと身につけた技術を存分に発揮してくれることでしょう。


 

      ジャムを受け取る飛永晶彦エコカード基金事務局長


2人が研修した木之内農園で作っている「阿蘇×ソロモンジャム」をいただきました。このジャムにはソロモン諸島産の蜂蜜が使われています。


ジョンマックさん、ジョンアラーニさん、ありがとうございました。


エコカード基金事務局

熱帯雨林保全プロジェクト(パプアニューギニア)を訪ねて

エコカード基金会員の皆さま、こんにちは。
私たちエコカード基金事務局は、2月2日〜4日の三日間、基金のプロジェクトの一つである、「熱帯雨林保全プロジェクト」の活動拠点がある、パプアニューギニア(PNG)のラバウル市を訪問しました。

私たちはソロモン諸島マライタ島での熱帯雨林保全活動の訪問を終え、もうひとつの熱帯雨林保全活動を行っている、ソロモン諸島の隣にあるパプアニューギニアのラバウル市に降り立ちましたが、雨季だったソロモン諸島とは違い、ここでは青空がとても眩しく感じられました。


ラバウルのトクア空港と青空

整備された道路を走り、コスモ石油エコカード基金が熱帯雨林保全活動の支援をしている公益財団法人オイスカのエコテック研修センターに到着しました。研修センターに到着したのが夕方だったため、その日はフランシス所長やスタッフへのご挨拶のみとし、翌日の午前中に研修センターの農業インストラクターであるダニエルさんに、広大な施設内を案内していただくことにしました。


豊かな森の中にあるエコテック研修センター事務所棟

残念ながら研修センターは次の学期の研修へ向けての準備期間となっており、定置型有機農業を学ぶ一部の研修生の姿しか見ることはできませんでしたが、エコテック研修センターのフランシス所長やインストラクターの皆さんは、もうすぐやって来る研修生のために着々と準備を進めており、熱気と活気にあふれる研修の様子が目に浮かびました。


ダニエルさんと育苗中の野菜の苗

前回の事務局視察時同様、敷地内には田んぼが広がっています。ここでは年間3〜4回収穫ができるので、田んぼごとに時期をずらして田植えや収穫を行うことができます。田植えの準備をしている田んぼの隣に、稲がたわわに実り収穫を待つばかりとなった田んぼが並んでいる姿は、日本では見られない、南国ならではの光景です。とはいえ収穫後すぐに次の耕作(連作)をすると土が痩せてしまうので、順番に休耕させます。

そして休耕中の田んぼには、「カラピ」など、土を元気にする豆類を植え、元気な土に戻します。ダニエルさんは、エコテック研修センターがモデル村として農業の普及に力を入れているサンバム村で大豆(ダイズ)の栽培を指導しています。大豆は先ほどのカラピのように、土に栄養分を取り戻す作用だけでなく、村の人々にとって大切な植物性タンパク質の供給源となります。ダニエルさんは、収穫した大豆を食用とするほか、一部を枝から外し、翌年の種としても使いたいと考えています。


田んぼ(奥が収穫前の稲、手前がカラピ)


乾燥中の大豆


マイクロミル

しかしダニエルさんの思いとはうらはらに、村の人たちはついつい大豆を全部食べてしまい、翌年の種が無くなってしまうことに頭を悩ませています。村人たちへの定置型有機農業の浸透はまだまだこれからです。

また、お米を食べるためには精米しなければなりませんが、精米機を持たない村人たちは車でも片道2時間以上かかるエコテック研修センターまでお米を運んで来なければなりません。近日中にサンバム村にマイクロミル(小型精米機)を運び、村で作った米を村で精米できるようにする計画だそうです。これで村の人々は楽になり、時間を有効に使うことができるようになります。


前回訪問時同様、エコテック研修センターの敷地内では様々な動物が元気に暮らしていました。豚小屋では、生まれたての子ブタが元気に母親の乳を競い合うように飲んでいます。ティラピアを養殖している池では、2種類のカモが水辺を走り回っています。


豚小屋のブタ


ティラピア


水辺のカモ


ワニ


イーグル

敷地内に植えられた植物(キャッサバの食べない葉や茎といった農業残渣やもみ殻)や、豚小屋から出る糞などの有機物は、発酵させて肥料「ぼかし」とします。またこのぼかしはティラピアなど動物のえさにもなります。そしてエコテック研修センター内で死んでしまった魚や動物は、ワニやワシのえさに…。このようにエコテック研修センターの中では、定置型有機農業だけではなく、循環型農業も営まれているのです。

また、敷地周辺の森からは様々な鳥や動物たちの鳴き声が聞こえ、エコテック研修センター周辺にはまだまだ生物多様性に富んでいる豊かな森が残っていることを実感しました。

エコテック研修センターは開所以来22年間で述べ3,000人もの若者を受け入れてきました。次の学期も約100名(うち36名は女性)が研修を受ける予定です。この長年にわたるオイスカの活動が州政府に認められ、2006年からは州政府の補助金により、PNG全国から研修生が集まるようになりました。その活動は農業に携わる者、携わろうとする者のみではなく、国内各層に広く受け入れらており、卒業生の中には、地元に戻って定置型有機農業を広めようと活動をする若者や、中には地元で選挙に立候補し、要職に就く人も出てきているそうです。エコテック研修センターの元所長で、これまで多くの研修生を送り出してきた技術顧問の荏原さんは、「エコテック研修センターでの活動が、才能ある人材の発掘、産業育成、活躍の場を広げる機会になれば」と話しています。


研修生が寝泊まりする寮

この後、私たちは、前回訪問したケラバットのCIS刑務所でオイスカが実施している定置型有機農業研修を受け、刑期終了後、自分で農業を始めているHさんの農場を訪ねました。うっそうとした森の中にあるHさんの土地には、若いココナッツの木がたくさんあります。Hさんはここでココナッツの実の白い部分から取れるコプラを製造しています。コプラは乾燥させて絞ることにより油を得ることができ、また、加工食料の材料として利用できるため、地元住民の貴重な現金収入源となっています。


Hさんのココナッツの森

コプラは天日干ししたものが一番高く売れるそうですが、雨季である現在はココナッツの殻を熱源とする乾燥機で乾燥させます。燻製臭や色がついていない方が商品価値は高く、Hさんはコプラを乾燥させるときには細心の注意を払っています。またHさんは、この周辺は平坦な土地が限られており、ココナッツの樹も若いため、近くの島で稲作も始める予定であるとのことでした。ここでもコスモ石油エコカード基金の支援活動の成果を見ることができました。


乾燥器のなかのコプラ

次に訪れたのは、前回も訪問したCさんの農園です。ここではニワトリや豚を放し飼いしていたり、キャベツの苗を育てたりしていました。


ニワトリと豚


キャベツの苗


自宅の庭先で販売している手作りの装飾品

このようにラバウルでは、刑期を終えた元受刑者たちが、生活の糧とするために新たに農業や事業を始めるケースが増えています。

前回も報告した通り、刑務所の看守たちも受刑者と一緒に定置型有機農業の技術を身につけ、自給自足ができるようになっていることや、余った農作物を外部に売り現金収入を得ることができるようになったことが評判を呼び、各地の刑務所から、自分のところにも来て農業を教えて欲しい、との要請が引きも切らないそうです。コスモ石油エコカード基金の支援による活動は、着実にPNG国内で浸透し始めています。


エコテック研修センターでは、定置型有機農業の普及のみではなく、生物多様性の保全についても取り組むとのことで、そのための準備を始めているそうです。


私たちコスモ石油エコカード基金は、パプアニューギニアでの活動のように、これからも持続的な社会や生物多様性保全の実現のため、「ずっと地球で暮らそう」を合言葉に、継続的に支援していきたいと考えています。

コスモ石油エコカード基金事務局

熱帯雨林保全プロジェクト(ソロモン)を訪ねて(2012/1/29-30)

コスモ石油エコカード基金会員の皆さま、こんにちは。
私たちエコカード基金事務局は、1月29日、30日の二日間、基金のプロジェクトの一つである、「熱帯雨林保全プロジェクト」の活動拠点があるソロモン諸島のフィユ村を訪問しました。

ソロモン諸島はオーストラリアの北東、赤道の南に位置し、熱帯雨林に囲まれ、サンゴ礁の島々を含む多様な島嶼からなる自然豊かな地域です。
今回訪問するフィユ村は首都ホニヤラがあるガタルカナル島のさらに北東に浮かぶマライタ島にあります。日本からはソロモン諸島の隣国であるパプアニューギニアの首都ポートモレスビーとソロモン諸島の首都ホニヤラを経由しなければならず、飛行機と船を乗り継いでの長旅となります。


船から見たソロモン諸島の島


私たちはホニヤラ空港に降り立ち、NPO法人APSDの伊藤代表とスタッフであるピーターさん、それから、しとしとと降る雨に出迎えられました(この地域の1月末は雨季のため、残念ながら燦々と輝く太陽の出迎えはありませんでした)。

ホニヤラ到着後、すぐにでもフィユ村に向かいたいところですが、マライタ島に行く船は翌朝出航のため、ホニヤラで一泊しなければなりません。そこで、まずはソロモン諸島の現状把握と翌日からの行動のための予備知識を仕入れるために、ホニヤラ市内の案内をしていただきました。ちなみに首都ホニヤラは、大きな幹線道路が町の中心を貫いていますが、車で走っても15分程度で一回りできる広さです。

私たちが向かったのは、市内にある通称「ソロモンのスモーキータウン」です。ソロモン諸島は多くの小さな島々で構成される国ですが、昨今の近代化によって、ゴミの問題が顕在化し社会問題になりつつあります。私たちが行った場所も、市が指定するゴミ集積場なのですが、特に処理をされているわけではなく、まさに野積み状態でした。また職を求めてマライタ島からたくさんの人が流入してきているとのことですが、首都ホニヤラでも仕事は不足しており、最近はこのスモーキータウンで寝泊まりし、ゴミの中から売れそうなものを見つけて生活の足しにする人々が現れ始めているとのことでした。小さな島ですので、ゴミの問題は深刻です。


ゴミ集積場


ソロモン諸島に近代的な生活様式が入ってくるまでは、人々は手に入りやすいバナナやタロイモ、パイナップルなどの果物や野菜を食べ、食べ残しや食べかすは、慣習的に道端などに捨てていました。人口が少なく、有機物のゴミしかなかった時代には、ゴミは時間をかけて自然に戻るため、ゴミ問題は発生しませんでした。

しかし、最近のゴミはプラスチックやブリキ、アルミなど、自然のなかでは分解しないものが多くなり、道端に捨てられたゴミはそのまま残ってしまうのです。

ゴミの捨て方などに関する教育はどこの国でも大変重要なのですが、急激に近代化が進んだソロモン諸島においては、行き届いているとはいえない状況だそうです。

さて、今回の訪問の目的は、過剰な焼き畑農業を抑制し、安定した食糧自給や現金収入を確保するために定置型有機農業の技術指導と普及に取り組んでいる、コスモ石油エコカード基金による熱帯雨林保全プロジェクトの活動を皆さまにレポートすることです。

このプロジェクトに取り組んでいるNPO法人APSDが活動拠点としているのがソロモン諸島マライタ州フィユ村なのです。

ホニヤラ到着の翌日、私たちはジェットフェリーで約3時間、しかもハリケーン並みの大きな波に翻弄されながら、マライタ州アウキ市の港へ向かいました。港からさらに車に揺られて15分、いよいよAPSDさんの活動拠点、フィユ村にあるAPSDパーマカルチャーセンター(PCC)に到着です。


フィユ村までのバス?


PCC宿泊棟

PCCではソロモン諸島各地から集まった研修生に対し、過剰な焼畑農業を抑制し、安定した食糧自給や現金収入を確保するための定置型有機農業の技術指導をすることを主な活動目的としています。また、PCCでは稲や野菜の研修のほかに養豚・養鶏の研修にも取り組んでいます。

気候が温暖なこの島では、ナスなどの作物は良く育ちますが、残念ながら現地の人はあまり食べません。ナスのおいしい食べ方(たとえば素焼きに醤油と鰹ぶし…など)を、栽培方法と一緒に教えることができれば、こうした育てやすい作物がもっと普及し、栄養も十分取ることができるのに、とPCCに駐在しているAPSDの白藤さんが話してくれました。



稲作


ナス


PCC入口から見た研修フィールド



可愛い子ブタ


放し飼いのニワトリ

また最近、PCCでは養蜂にも取り組んでおり、ハチミツだけでなく、最近日本でも注目されているプロポリスも製品化できるかどうか検討しています。日本ではひとつの養蜂箱から年間100g程度のプロポリスを採ることができるとのことですが、ここでは約1kgも採ることができるそうです。物流と品質管理に課題はありますが、良い品質のものをソロモン諸島の人々の手でも作れるようにしたいと白藤さんは目を輝かせて言います。


養蜂箱


ところで、PCCにはまだ電気が通っていません。しかし、電気技術者でもあるピーターさんが、オフィス棟の屋根に大きな太陽光発電パネルを設置し、蓄電池を組み合わせることでオフィス内に電気を供給することができるようになりました!この太陽光発電パネルと蓄電器のおかげでオフィス棟では冷蔵庫とパソコンが使えるようになりましたが、実はピーターさんはソロモン諸島の国費留学生として日本に留学したこともある優秀な技術者で、普段は大阪でご活躍されているとのことです(日本語も驚くほど堪能です)。


屋根の上の太陽光発電


蓄電池


APSDのソロモン諸島での活動は、首都ホニヤラとマライタの間で紛争が勃発した2000年に、復興を目的としてスタートしました。そして、初めて精米機の寄贈をした時から現在まで、過剰な焼畑農業に依存せずに、環境を守りながら安定した食糧自給や現金収入を確保するための定置型有機農業の指導に力を入れてきました。このようなプロジェクトの地道な活動が地域の若者の中にも少しずつ浸透し、高い志を持つようになった青年も少なくありません。

しかし、それだけではダメだと、代表の伊藤さんは言います。ソロモン諸島では産業が乏しく、貧困にも苦しんでいます。とてもおいしい農作物(パイナップルは絶品!)はあっても、物流網や保管施設などが十分に発達していないため、国外に輸出することも困難です。さらに、ソロモン諸島国内においても、全ての物資が一旦首都ホニヤラに集められてから供給されるため、遠く貧しい島に住んでいる人々は輸送費のかかった高い買い物をしなければならないのです。

ソロモン諸島で定置型有機農業を普及させるとともに、人々が働く場を作る。物流網を整備し品質管理を導入して質の良いものを人々に行き渡らせる……夢は広がります。そのようななか、現在はアウキ市に日本のODAによって建設されている新しい市場(いちば)の中に、定置型有機農業で作った村の農作物を販売することができ、新たな職場を提供することができるレストランを開店するためにスタッフは各方面との調整に奔走しています。


建設中のアウキ市の新市場


私たちは29日の夜、フィユ村の民家に一泊。村の人々が、私たちのために歓迎パーティーを開いてくれました。子供たちが歌ってくれたのは、なんと日本語の「島人ぬ宝」で、白藤さんの妻のシンディさんが村の子供たちに教えてくれたそうです。子供たちの一生懸命な踊りが何とも可愛いです。歌と踊りのあと、村の人たちの真心こもった貴重な豚肉料理をいただきました。


子供たちの踊り

村では豚やニワトリを放し飼いしていますが、食べるのは年に数回、結婚式や祭りの時ぐらいであるとのことで、私たちのための特別な料理に胸が熱くなります。
おいしく料理をたくさんいただいたところで、昨年、日本に農業研修に行っていたジョンさんが隣に座りました。ジョンさんは日本でしっかりと農業技術を学び、それを自分の国へ広げたいという志を持って島に戻ってきました。


テーブルの上のご馳走

今回の訪問で最も印象に残ったことは、コスモ石油エコカード基金の支援を受け、日本の木之内農園(熊本県)で農業を学んだジョンさんとの再会です。ジョンさんは3か月の研修を終えて帰国する際にコスモ石油エコカード基金の事務局を訪ね、自分が日本で学んだこと、帰国してから実践したいことを私たちに話してくれました。そして今回の訪問で再会した彼は、親族を数人集めてファーマーズコミュニティを組織しスイカ作りを始めていること、自宅では中国キャベツの苗を育てていることを話してくれました。ポットに植えられ整然と並べられた苗は、日本で学んだ技術を実践している証でしょう。


ジョンさん宅のキャベツ苗

(実はこの日の夕方、農作業をしているジョンさんに会ったのですが、その時のジョンさんはそれまでに会った島の人とは違い、タオルを頭に巻き、きちんと長靴をはき、作物を大事にするにためわざわざ遠回りするという、青年農業家ぶりを見せてくれていたのです。木之内農園さんの指導ぶりが目に浮かびます)

私たちは日本で様々なことを学んだジョンさんの立派な姿と定置型農業の普及というプロジェクトの成果の一部を見ることができ、大変うれしく思いました。

ジョンさんは言います。「技術を身につけ、少しずつお金を貯め、仲間を増やして規模を拡大したい。そして大きな家に住み、幸せに暮らしたい。」このプロジェクトを理解し、経験を積み、技術を身につけつつあるこのソロモンの青年の目は、しっかりと将来を見据えています。

このような青年が育ちつつある一方で、ソロモン諸島の教育事情はまだまだ十分とは言えず、働く職場も限られています。ソロモン諸島には日本の高校程度までの学校はありますが、進級するためには試験に通らなければなりません。試験に通らなかった子供たちを救済する制度は無く、公的な教育はそこでストップしてしまいます。また、進級できたとしても費用負担は軽くはなく、頑張って卒業しても職場は簡単には見つかりません。さらに、大学レベルの教育を受けるためには海外に出るしかありません。


宿題をする子供たち


ピーターさんのように国費留学生として高い水準の教育を受ける機会に恵まれ、日本などで最先端技術を学んできた若者が戻ってきたとしても、国内ではその技術を発揮できる職場も機会もなく、能力を発揮できないというのが実情なのです。

とはいえ、今まで書いてきたとおり、皆さまからお預かりした基金に支えられ、プロジェクトの目的を達成させることへの努力はもちろん、自分たちの国を発展させるため、幸せに暮らすために夢と志を持ち、努力をしようとする青年が育ちつつあることは、ソロモン諸島はもちろん、コスモ石油エコカード基金にとっても大いに意義があることだと今回の訪問で感じることができました。


NPO法人APSDからエコカード会員のみなさまへ感謝を込めてレリーフをいただきました。

私たちコスモ石油エコカード基金は、ソロモン諸島での活動のように、これからも持続的な社会、生物多様性保全実現のため、「ずっと地球で暮らそう」を合言葉に、継続的に支援していきたいと考えています。

コスモ石油エコカード基金事務局


オイスカ50周年特別功労賞を受賞しました。

 このたび、コスモ石油エコカード基金は、支援団体の母体で、創立50周年を迎えた「オイスカ・インターナショナル」より、永年の取り組みに対して「特別功労賞」を受賞しました。


コスモ石油エコカード基金とオイスカ・インターナショナルの推進機関である「公益財団法人オイスカ」は、2002年の基金設立当初から、パプアニューギニアにおいて「熱帯雨林保全」プロジェクトを展開しています。現地において、コスモ石油エコカード基金とオイスカの取り組みは、10年経過した現在では、パプアニューギニア政府からも評価される活動になりました。

10月7日(金)に開催された受賞式典では、森川桂造エコカード基金理事長が出席し、式典後のレセプションでは天皇陛下に謁見する機会をいただきました。

今後もコスモ石油エコカード基金は、「エコ」会員の皆さまからお預かりした大切な寄付金やコスモ石油グループからの拠出金を、世界各地のさまざまな環境問題の解決のために活用してまいります。


特別功労賞受賞の様子
(左端:中野良子オイスカインターナショナル総裁、左から3番目:森川桂造エコカード基金理事長)


特別功労賞「表彰状」

熱帯雨林保全[パプアニューギニア]現地視察(2011/8/27-9/2)

 この度、現地で熱帯雨林保全活動をしている、NGOオイスカの活動を視察するために、パプアニューギニア(以下、PNG)を訪問してきました。
オイスカに対するエコカード基金からの支援は2002年から始まっており、今年で10年目になります。
オイスカはこれまでのカカオや、パーム(やし)畑のプランテーションから、循環型農業の普及という形で、稲作への転換や、環境教育の普及を長年現地で行っています。

私たちは、オイスカのエコテック研修センターのある、イースト・ニュー・ブリテン州のラバウルに降り立ちました。
飛行機から見下ろすラバウルの街は緑であふれ、とても森林が危機に陥っているようには見えません。


私たちをエコテック研修センターまで案内してくれたオイスカの荏原(えはら)さんに、緑がきれいですね、と話をすると、この辺りはパーム畑だらけになって、自然が失われている、との言葉。
正直、この時点では???でした。


エコテック研修センターは、現地の青年を集め、有機循環農法の普及活動を行っています。科目は大きく分けて5つ:農業・畜産・稲作・林業・女性の社会教育
現在研修生は合計で97人。出身地はPNG全国に亘り、長期で研修に来ている青年と、2週間程度の短期研修生。これに対し、スタッフは日本人の荏原さんを除くと、24人すべてがPNG人。みんな、このエコテック研修センターの卒業生です。
所長のフランシスさんは、今年2月にPNG人で初めて所長になりました。

フランシス所長(左手前)

いつまでも日本人に頼らず、PNG人にできることは権限移譲していこう、との試みです。
スタッフ、研修生みんなの笑顔が大変素敵で、すれ違うたびに気軽に「こんにちは」と挨拶してくれます。(それも日本語で。ここでは日本語も教えているのです)

エコテック研修センターの中を案内していただきました。
火食い鳥やワニ!を飼育しています。


火食い鳥



ワニは、センターの運営資金を稼ぐために飼育され、皮や肉を外部に販売しています。
皮は高く売れるそうです。
中には全長2メートルは優にある長老のワニがいて、近づくのもためらわれます。

畑に出てみると、研修生が汗を流して野良仕事に励んできます。敷地内ではトウモロコシ、キャベツ、タロイモ、キャッサバ(タピオカの元になる野菜です)、サトウキビ、マンゴー、パパイヤなど様々な野菜・果物が栽培されています。

研修生が、ちょうど稲の収穫をしているところに出くわしました。炎天下の中、生徒さんたちは一心不乱に稲を刈り、千歯こきで脱穀しています。




日本と違い、熱帯雨林気候のラバウルでは、水田ではなく、陸作を行っています。
数年前から有機農法に切り替え、化学肥料を一切使用していませんので、稲と稲の間には、雑草もまばらに生えています。


また、日本と違い気候に恵まれているので、年に3〜4回、収穫をすることができます。今、収穫をしている田んぼの横では、まだ植えられたばかりの稲が育っています。


同じ土地で連続して何度も作ると、土地の栄養分が失われ、次に収穫する稲に元気がなくなってしまいます(いわゆる連作障害です)。
そこで、収穫の終わった田んぼはしばらく休耕させ、替わりに豆などを植えて土に栄養が戻ってくるのを待ちます。

もともと、PNGには稲作はありませんでした。なぜ、オイスカはこの地で稲作の普及に力を入れているのでしょうか?

当地での従来の主食はタロイモでしたが、お米の美味しさも知っており、特に若い人たちの間では、白いご飯が食卓に上がる日が週2〜3回あるそうです。ところが、お米は栽培されていなかったため、人々はお金を出して輸入された米を買っていました。

そこに現れたのが、カカオのプランテーションです。
カカオはPNGで生産されますが、当地でチョコレートに加工する技術がないため、すべて原料として輸出され、人々はカカオを売って得たお金で、お米を買っていました。

しかし数年前、カカオにとって天敵のシンクイ虫という害虫により、PNGのカカオ産業は壊滅的な打撃を受けます。他に大きな収入源のなかったPNGの人々は、すっかり困ってしまいます。

オイスカがここで稲作を教えているのは、自分たちが食べるお米を作ることで自給自足を目指すとともに、余ったお米を売ることで収入源とすることもできる。

何より、特定の収入源に頼るのではなく、複数の産業を興すことが、人々の生活を安定させるすべになるのです。

この活動は、PNGの各地から研修に来ている青年の心を捕えました。出身の村に帰って、自分で稲作を始めたり、友人に研修センターのことを話して、研修への参加を促してみたり、中にはそのまま残ってスタッフとして働いている人もいます。

稲作は、少しずつながら、PNGに根付き始めています。

翌日、私たちは車で1時間半ほど離れたところにある、ケラバットのCIS刑務所を訪問しました。


この刑務所では、オイスカのスタッフが受刑者に農業指導を行い、出所後のための職業訓練とするとともに、看守の人々も一緒に学習し、PNG全国の刑務所に有機循環農法の指導を促しています。
刑務所の広大な土地には、受刑者が開墾した畑があり、稲が青々と育っていました。一角には精米機が置かれ、収穫した米を脱穀し、販売したり、近くの村民のお米を精米してあげることで収入を得たり、種もみを売ったりしています。


精米機


販売用の種もみを乾燥しています。

その後私たちは、元受刑者で出所後、地元で農業を始めた二人の青年の家を訪れました。マクラパオ村のAさんは、島の奥深くの密林の中で、畑を開墾し、米を作ったり、コーヒーを栽培しています。ここでは村民みんなが、共同で農業に携わり、安定的な収入を得ています。


マクラパオ村にて


村民で開墾した畑の様子


次に訪問したココポ地区のBさんは、ジェイル・バード・ファームと呼ばれる組織を作り、それぞれで稲作や鶏、ウサギ、豚などの飼育をしていますが、なんとこの団体は、元受刑者が集まって活動しているのです!
まさに彼らは刑務所を出てから、立派に社会復帰を果たし、かつ地域に安定的な収入の基盤を作り始めています。


コポポ地区にて

一緒に彼らを訪問してくれたケラバットCIS刑務所の所長さんによると、ケラバット刑務所の活動が州政府にも認められ、自分の刑務所にも農業を普及させたいと看守さんの転勤を要望されたり、こうした元受刑者の農業を支援する予算も計上されたとのこと。
ここでも確実に啓もう活動が根付いていました。

翌日、私たちはオイスカがモデル村構築プロジェクトを手掛けているサンバム村を訪れました。
密林のでこぼこ道を車で走ること約2時間。サンバム村にあるモデル畑に到着しました。


サンバム村

ここでは密林を切り開いて、米やキャベツ、キャッサバ、タロイモなどを植えています。


タロイモ畑の様子


ブロッコリーも育っています!

また、ただ切り開くだけではなく、土壌の弱った場所ではユーカリの木を植林して、土壌保全活動もしています。私たちも植林活動をお手伝い。



サンバム村は昨年、マレーシア華僑企業から、村の木々を材木として売らないか、との話を持ちかけられました。村民にとってはお金になる話ですが、木々が伐採された後は、はげ山が残るだけ。森林が財産の村にとっては、一時期の収入のために大事な財産が失われることになります。

そこでオイスカは、オリジナルの劇を学校で上演し、森林を守ることがいかに村にとって大切なことかを伝えました。

最終的な判断は、村民がすること。その意思を尊重しつつ、環境の教育、無計画な開発の結果について伝える事に尽力し、村は結局木々を売ることを止めました。

しかし、中にはやはり木々を売って収入を得たい人々もいて、一時期村で活動していたオイスカのスタッフが身の危険を感じて、しばらく近づけない時期もあったそうです。
環境活動も命がけです。

最初に不思議に思った疑問が蘇ってきました。
なぜ、例えばパーム畑のプランテーションは、森林破壊につながるのでしょう?
元々あった木々は根こそぎ切り、替わりにヤシの木を植えるのです。

オイスカの長さんが教えてくれました。
コーヒーのプランテーションは、敷地も小さく、他の作物と一緒に栽培できるからまだ良い。
パーム畑は、広大な土地を必要とするのに対し、根を深く張らないため、土壌が弱まり、土砂崩れなどの原因となり、森がなかなか戻ってくることができないそうです。
最初に荏原さんが浮かべた憂鬱そうな顔を思い出しました。

この度のPNG訪問では、エコカード基金を活用したオイスカの地道な活動が、地域の環境保全、産業育成、環境教育に役立っていることが良く分かりました。その道のりは決して平たんなものではなかったと思いますが、短期間でなく、長い時間軸で活動を続けることで、少しずつ実をつけるものだと実感しました。

エコカード基金は、会員の皆さまのご協力の下、引き続き環境修復と保全、次世代の育成をサポートしていきます。

 

熱帯雨林保全(PNG) エコテックセンター新所長が来社しました(2011/2/24)

『熱帯雨林保全(PNG)』プロジェクトの活動拠点となっておりますオイスカエコテックセンター(OISCA Rabaul Eco-Tech Training Centre)のフランシス新所長が、来社されました。

エコテックセンターでは、これまで日本人が所長を務めていましたが、定置型農業の技術普及を進めつつ現地のリーダーの育成にも力を入れた結果、今年2月より現地のパプアニューギニア人が所長に就任し、センターを運営することになりました。

フランシス所長は、パプアニューギニアでの農業研修の第1期研修修了者であり、現地では稲作のスペシャリスト(精米機まで修理してしまう!)でもあり、これまでも活動の中心メンバーとして活躍されていました。

そして今回、エコテックセンターの所長に就任するにあたり、マネジメント研修の一環として来日されました。


フランシス所長から、エコカード基金からの支援がきっかけで、現地の方々に稲作をはじめとした定置型農業が普及し始め、また政府からもエコテックセンターでの活動が認められたことにより、コメの収穫高が年々増えてきていることや、地元の方々が自分たちの手で作ったお米を収穫して食べることを楽しみにしていることなど、英語や日本語を交えて話してくださいました。


この活動への支援も10年目を迎え、エコテックセンターも日本人所長からパプアニューギニア人所長へと変わり、その運営を現地の方々が担うということは、自立運営に向けて大きな第一歩を踏み出したと言えるでしょう。


                                         
       ※中央:フランシス所長、左から1番目:プロジェクトパートナーであるオイスカ長様
                                                           以上

活動概要(熱帯雨林保全)

パプアニューギニアとソロモンにおいて、過剰な焼畑農業を抑制し、安定した食糧自給や生活を営む上で必要な現金収入の確保のために、定置型有機農業の技術指と普及に取り組んでいます。指導員を育成する研修施を充実させることで、研修を受けた住民が地域における技術指導のリーダーとなり、熱帯雨林の保全と地元の人々の生活安定をめざします。

支援開始:2002年度〜
プロジェクトパートナー:財団法人オイスカ(パプアニューギニア)
               NPO法人APSD(ソロモン)

※詳細は、コスモ石油エコカード基金HPをご覧ください。↓
 http://www.cosmo-oil.co.jp/kankyo/eco/pro_tr.html (PCサイトへリンクします)

          熱帯_サンバム村_2.JPG

               

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